BPM(ビジネスプロセス管理)とは

 2018.02.26  RPAチャンネル編集部

みなさんはBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)という言葉をご存知でしょうか?BPMは業務プロセスを可視化し、改善するための手法として広く浸透している手法です。しかしながら、BPMについてその概要を正しく理解している人は少ないようです。

ある大手調査会社ではBPMを「企業パフォーマンスを直接的に改善する資産として扱う経営手法」と説明し、一方ではBPMを「ワークフローにSOA(サービス指向アーキテクチャ)※を加えたもの」と説明します。BPMの定義はそれぞれの立場や主観によって異なるため、BPMについて正確に理解しにくいのも無理はないでしょう。

本稿では、多様に理解されることが多いBPMの概要について、日本BPM協会の定義をもとに解説していきます。

※アプリケーションなどを部品化して,それらを組み合わせてシステムを作る設計手法

BPMとは?

日本BPM協会ではBPMの定義について、次のようにシンプルに説明しています。

“実態に即した仕事のやり方を自ら設計・構築し、適用しながら改善する”

引用:日本BPM協会「BPMとは」

この日本BPM協会の定義は、冒頭で紹介した定義に比べてだいぶ分かりやすいのではないでしょうか。「実態に即した」とは、既存の課題を洗い出して仕事のあるべき姿に沿って、そのやり方を設計・構築し、それを適用して効果検証を繰り返しながら改善する。これがBPMの定義です。

どこかで似たような仕事の改善手法を耳にした方も多いでしょう。そうです、BPMはビジネスの基本である「PDCAサイクル」に類似したプロセスを持ちます。

ただしBPMの概念はPDCAサイクルよりも上位的な概念で、会社の業務プロセス全体に及びます。PDCAはより小さい粒度の業務プロセス内で回してゆき、個別の業務の改善に寄与します。ですので、BPMは個別の業務をさらにつなげた全体の業務プロセスを可視化して改善するというスタンスであるため、実際には各レイヤで組み合わせて利用されることが多いでしょう。

BPMは何をするのか?

では具体的に、BPMに取り組みたい企業はどんな活動をしていけばよいのでしょうか。複雑に思われがちなBPMの活動も、大まかに分類すると「可視化」「設計」「改善」「監視」というシンプルなものです。

最初にBPMの対象となる業務プロセスを可視化します。業務プロセスは何となく頭では理解していても、実際に明文化したり、モデル(図式)化してみると、意外な見落としがあったります。BPMの第一歩は「業務プロセスを関係者全員が明確に理解できるようにすること」なので、可視化というプロセスをまず最初に実行します。

日本BPM協会では業務プロセス可視化の際に、BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)を用いることを推奨しています。BPMNとは図や線で業務プロセスを表す、いわば「業務フロー図」のようなものです。会社独自の作成する業務フロー図と違う点は、ISO19510で世界標準になっていることでしょう。

BPMNの作成手順や図・線といった要素は世界レベルで規定されているので、誰もが同じように理解ができる業務プロセス可視化として役立ちます。可視化において各々が異なる認識を持っていると、BPMは一向に進みません。そのため、世界標準でもあるBPMNを用いることで「共通言語として活用しよう」というのが日本BPM協会の考えです。

設計では可視化した業務プロセスの問題点を発見して、それを解消するための新しい業務プロセスを設計します。このとき、人手による作業だけでなくシステムを使った作業も含めて業務プロセスを設計することが大切です。一般的には課題のある作業を「無くす」「統合する」「変更する」といったアクションがあるので、問題に応じて適切なアクションを取ります。

ただし、一つの業務プロセスを変更すると、他の業務プロセスに影響を及ぼす可能性があるため、全体を見渡しながら設計することが重要です。

改善では新たに設計した業務プロセスを適用して、課題を解決してゆきます。とはいえ、すぐに思うような成果が上がらないかもしれません。そのような場合でも諦めて元の業務プロセスに戻すのではなく、効果が出るまでの測定も含めて計画しましょう。それをもって継続的に改善していく姿勢が大切です。そのためにも、新しい業務プロセス適用後は入念な監視を行ってください。

新しい業務プロセスを適用したことで業務がどう変化したのか、システムパフォーマンスはどうか、全体の効率化はされているかなどを計測して視覚化かすることで、その情報を次の改善のために役立てます。

先述の通りBPMでは「設計」「改善」「監視」という表現をしますが、考え方はPDCAと類似しています。改善を実行したなら、監視で得た情報から業務プロセスを評価して、再び改善に向けた設計を行います。これを繰り返していくことで、次第に「実態に即した仕事のやり方」が完成していきます。

BPMにITソリューションは必要か?

ITベンダーではBPMを「業務プロセスを最適化するためのITソリューションだ」と説明する場合があります。そのため、BPMとITソリューションを同義のように受け取られている方も多いでしょう。

日本BPM協会は同様の質問に対して、次のように回答しています。

“そのように説明されている場合もありますが、日本BPM協会では、BPMを、業務プロセスの可視化・実行・改善といったPDCAサイクルを回し、業務課題の解決と、その組織能力を形成する経営手法としてご紹介しています。”

この回答からBPMには必ずしもITソリューションは必要ないと考えられます。ただし、日本BPMは次のように回答を続けています。

“ただし、Q1で述べましたが、BPMの特徴の一つは、業務プロセスの実行・管理にBPMシステムの利用するところにあります。このBPMシステムは、ITツールであり、開発ツールです。”

つまり要約すると、BPM自体はITソリューションありきではないが、実際にはBPMシステムがないとうまく実践できないというところでしょう。ITソリューションが無くともBPMに取り組むことはできます。しかし、BPMシステムがあった方が、取り組みがよりスムーズに進むというのは事実かと思います。

今後、BPMへ取り組む企業に向けて

改めてBPMについて考えてみました。外部環境の変化やビジネスモデルの変化のサイクルが速い今日において、業務における個別の対応を繰り返してゆくうちに、全体での大きな非効率を生んでいたり、気づかないうちにリスクが生じていたというケースは少なくありません。業務改善の手法として一般的なBPMですが、一回の改善で終わりではなく、継続的な「設計」「改善」「監視」が非常に重要です。

また、その出発点として重要なのが「可視化」です。しかし、すべての業務プロセスを調査し、可視化し、設計しなおさないと改善にたどり着けないとしたら、その間にまた業務の変化が入ってしまうかもしれません。

そのような場合におすすめのアプローチが、RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用です。RPAはロボットソフトウェアを用いた業務自動化という手法です。これは個別の作業レベルで自動化するツールですが、実際に作業するのはソフトウェアであるため、作業プロセスを明確化しなければ活用することはできません。つまり、可視化ができていない状況であっても、RPAを活用するという目的のために可視化と標準化が行え、使い始めると大きな効率化の効果を得られます。

本来は可視化されたプロセスを自動化するという順番で考えるべきですが、粒度の小さい作業から可視化と効率化を一気に進めてしまうというツールとしてRPAを活用することもできるでしょう。

RPAは一般業務にあたる従業員が自らプログラムを開発し、定型業務を自動化できるITソリューションです。

主にホワイトカラー業務を中心に、マニュアルによって作業手順を明確に定義できる業務で活躍します。2017年はRPA元年とも言われ、2018年現在では企業規模を問わず急速に普及が進む見込みです。

BPMの必要性を感じながらも、最初のフェーズである可視化や業務の把握で大きな負担を感じている場合には、まずはツールを入れる過程で可視化をし、できるところから効率化を進めるというのもひとつのやり方でしょう。

BPMの本来の目的を念頭に置きつつ、ぜひ足元のできるところからの業務改善から進めてみてください。

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