BPMができていないとRPAは導入できない?その関係

 2018.03.14  RPAチャンネル編集部

最近注目を浴びているRPA (Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)を検討している企業様から、しばしば「事前にBPMが必要なの?」という質問を受けることがあります。BPMとは、既存の業務プロセスを「可視化」「設計」「改善」「監視」することで、業務改善を成功させるための経営手法およびそれを実現するITソリューションです。BPMについて明確に理解したいという方はまず「BPM(ビジネスプロセス管理)とは」をご一読ください。

確かに、RPAは作業を自動化することによって業務効率や生産性を高めるためのツールです。そのためには、まずどのような業務を対象にするか、その業務プロセスはどうなっているのか、ということが明確でないと実装できないため、BPMとつなげて考えられるのは非常に自然な発想です。

そこで、本稿ではRPAに興味を持つ多くの方が疑問であろう「RPAにBPMは必要か?」について回答していきます。

RPAとBPMの関係

ロボットソフトウェアを用いて定型業務を自動化するツールであるRPA。そして業務プロセスを再設計して業務改善を行う方法論であるBPM。RPAはツールであり、BPMは概念や方法論から語られることが多いため、RPAの初期段階ではBPMとセットで考える人は少なかったのではないかと思います。

しかし、いくつかのベンダーがRPAとBPMを統合してソリューションとしたり、そのような事例が出てきたために「RPAにはBPMが必須」という考えを持つ方も増えてきたのではないでしょうか。しかしながら、正攻法としては正しいアプローチだと思いますが、そこにとらわれすぎるのももったいないというのが現実的なところだと思います。

なぜなら、BPMがあるうえでRPAを導入するのは当然のことながら円滑な導入や高い効果が期待できるのですが、BPMの成熟レベルが低い場合には、RPAを導入する過程で業務プロセスを整理するという方法も可能で、結果的にBPMに結びつけられるからです。

一見すると順番が逆なのですが、ではRPMを導入する前工程としてBPMを、となると非常に時間がかかり、息切れしてしまうこともありえます。RPAはもっと手軽な「ツール」なので、「できるところからやる」というアプローチでも十分に効果が出せるのです。

BPMのプロセスは先述した通り「可視化」「設計」「改善」「監視」です。この中で最も労力のかかるプロセスが「可視化」でしょう。このプロセスでは日頃何となくでしか理解していない業務プロセスを明文化・モデル(図式)化します。

なぜ可視化が大変かというと、そもそも担当者しか知らないような業務プロセスをすべて洗い出していかなければいけないうえに、個々のプロセスを解釈しなくてはいけないからです。また、他の業務との関連性などまで把握しないと、あとで業務上大きな問題になってしまうこともあり得ます。

すべての業務を洗い出したうえでRPAの対象業務を決定していては、それまでに膨大な時間と工数がかかってしまい、いつまでたってもRPAのメリットを享受することはできなくなってしまいます。

では、BPMへ取り組む以前にRPAを導入すると何がよいのでしょうか?これを知るために、RPAの概要を改めて整理したいと思います。

改めてRPAとは?

RPAはデジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれるロボットソフトウェアです。AI(人工知能)を搭載した製品もありますが、多くの場合は開発者が定義した作業手順に従って、業務を自動化するソフトウェアです。開発者といっても特別なスキルは不要である製品も多く、ユーザーレベルで運用が可能であるツールです。

RPAが自動化してくれる業務はおもにバックオフィス系の業務で、大量の事務処理が発生するような業務が対象になります。このような業務は一般的にマニュアル化され作業手順が明確に定義された業務が多いからです。たとえば経理部門なら貸借対照表や損益計算書を作成するにあたって、Excel台帳からデータを引っ張り出してその情報を転記することが多いかと思います。

作業手順さえ決まっていれば、RPAでの業務の自動化が可能です。開発者はパソコンの操作画面と開発画面を参照しながら、RPAに実行すべき作業手順を定義していきます。開発画面は製品によって異なりますが、たとえばソフトバンクの「SynchRoid(シンクロイド)」ではGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)での開発が可能で、プログラミングなどの特別なスキルが無くても簡単に開発できます。

プログラムが開発できたら、トリガーとなるイベントを指定実行したり、スケジューリングで決まった時間に実行するなどの実行の設定をしましょう。そうすれば、RPAが定義した作業手順に従って業務を自動的に処理してくれるので、ユーザーはその分の作業量を削減できます。

ここで一つRPAを活用した事例をご紹介します。

≪RPA活用事例≫

A社では業務委託社員受け入れ業務にあたって、入館カード発行や研修のために月1回のペースで基礎情報(名前、所属先企業等)を人事システムに入力しています。もちろん、毎月何人もの業務委託社員の情報を入力するため、その作業量は時間にして40時間です。

そこでA社では、定型作業が多いこの業務にRPAを適用しました。RPAが代行する業務は「業務委託社員の各種情報が記載されたExcelを開く」と「対象者の情報を人事システムに入力(転記)する」の2つです。

この結果、A社では月40時間の作業量を68%削減し、月13時間まで短縮することに成功しています。

以上のように、RPAは作業レベルでの自動化が可能であるため、その作業内のプロセスさえ明確であれば利用することができるのです。もちろんその前提としてBPMによって業務プロセス全体が可視化されていれば、RPAが活用されている業務の全体の中の位置づけがわかり、全体最適的なアプローチができるでしょう。

しかし、逆にRPAを定義するために現在の業務プロセスや作業内容を明確にし、標準化するところから始めてもBPM的な概念に反するものではありません。むしろこれを積み重ねることで全体の業務が整理されることもあります。

そのため、「RPAの前にBPMが必要」と考えることは必ずしも必須ではありません。足元の業務改善を積み重ねていく第一歩としてRPAを考えるのもありでしょう。

BPMがあると、RPAの効果が高いのは事実

RPAにBPMは必ずしも必須ではないと説明しました。ただ、理想を言えばBPMの成熟度が高いに越したことはありません。

BPMに取り組んでいるということは、既存の業務プロセスを可視化してマニュアル化ができるという状態です。非定型業務とされていた業務プロセスに関しても、再設計することで定型業務化し、RPAが適用できるケースがあります。

そうすれば、RPAをより広範囲に適用して、多くの業務プロセスを自動化して作業効率と生産性向上の効果を最大限に引き出せるでしょう。

現状BPMのレベルが高くなく、可視化や標準化が遅れている場合にはRPAから取り組むことをおすすめします。先述の通りRPAの導入プロセスを通じて部分的な業務プロセスの可視化を始めてもよいので、なるべく早くそのメリットを享受することをお勧めします。

ITソリューション導入では、一般的に導入初期段階にて一部の領域で素早く成功させ、それを徐々に展開してゆくというアプローチを取ることが成功につながります。まずはRPAを導入していち早くその効果を実感し、全社拡大していくことで課題発見にも役立てるという方法も成り立つでしょう。

BPMを先にしないとRPAの正しい導入ができないのではないかと考えられていた方は、まずRPAに触れてみて、その検討から入ってみてください。RPAの適用効果は業務環境によって大きく違うので、実際に運用してみないことにはその効果は分かりません。

ソフトバンクが提供する「SynchRoid(シンクロイド)」では、ツールだけでなく自社の導入経験に基づくノウハウも含めてご支援可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

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