業務改善の手法と考え方

 2018.02.15  RPAチャンネル編集部

日本のお家芸とも言える「カイゼン(改善)」。この言葉は今や世界共通語であり、日本の高度経済成長の原動力の一つとして多くの生産現場に様々な改革をもたらしました。現在でも多くの国が、国政や生産現場にカイゼンを取り入れ、高い経済効果を生み出しています。

しかし日本発祥のカイゼンという取り組みや精神を、いま最も必要としているのは恐らく日本自身ではないでしょうか。先進国の中でも日本は深刻な少子高齢化社会にあり、2065年の労働人口は4,000万人弱と2016年の統計から約40%減少する見通しです。

引用:みずほ総合研究所「少子高齢化で労働人口は4割減 労働力率引き上げの鍵を握る働き方改革」 

こうした背景から内閣官房では「一億総活躍社会」の実現に向けて、働き方改革が推進されています。現在のような定時内をオフィスに出勤して業務するだけでなく、それぞれの多様な事情をもちながらも活躍できる社会が実現すれば、日本の労働人口が増加し、労働力の強化につながります。しかし単に働ける人を増やすだけでは十分とは言えない側面もあります。

今を生きる企業にとってまず向き合うべきは「人材不足解消」や「生産性向上」といった足元の課題です。政府が推進する取り組みに期待はしつつも、企業独自に対策を取り、現状を切り開くことが急務でしょう。

そこで今回は、人材不足解消や生産性向上といった課題に立ち向かうべく、業務改善手法とと、その考え方についてご紹介します。

業務改善とは?

皆さんは「業務改善」と聞いて何を想像しますか?ある人は「コスト削減」と言い、ある人は「業務効率のアップ」と言います。そうです、実は「業務改善」という言葉に対して共通の認識は存在しておらず、人によって定義はまばらです。従って、業務改善を推進するにあたって、まずは「業務改善とは何か?」を明確にすることが肝要です。

では、業務改善の定義とは何でしょうか?この答えは必ずしも一つではありません。業種や業務改善の目的によって、その定義が変わるためです。

製造業を例に考えてみましょう。まず製造業における「業務」とは、人材/設備/原材料などの資源を使って「商品」という価値を生み、さらに配送や販売という手段でそれを顧客や消費者のもとに届けます。従って業務とは「企業が持つ資源を価値に変換し、それを顧客や消費者に届けるプロセス」と言えるでしょう。

一方「改善」には「物事を改めて善くする」という意味があります。ただし、何を改善するかによってその目的は変わります。製造ラインの設備レイアウトを改善して生産性を高めるのか、原材料の検品作業を改善して製造ラインへの供給速度を上げるのか、様々な「改善」が存在します。

だからこそ、業務改善はプロジェクトに参画する関係者全員で「何を目的として業務改善なのか?」を明確にし、共通認識のもと推進できる体制作りが成功のポイントとなります。

業務改善推進のための5つのステップ

関係者間で「何を目的として業務改善なのか?」を明確にし全体で共有できたら、本格的な業務改善がはじまります。ここでは、成功する業務改善推進のために一般的なステップを紹介します。

≪ステップ1.現状把握≫

業務改善の粒度は「Excelでの作業効率化」など個人レベルのものから、組織的なものまで多様です。目指す業務改善が組織レベルならば、第一のステップは改善対象となる業務の現状把握です。現状把握とは具体的に「業務量調査」のことであり、改善対象となる業務にどういった手順があるのか、どれくらいの業務量が発生しているのかを把握します。場合によっては業務量調査を先に行って、改善効果の高そうな業務から取り組むという方法もあります。

もう一つ大切なことは、改善対象となっている業務と一連のプロセスでつながっている業務の相関関係について知ることです。「業務Aの改善には成功したが業務Bに影響が出てしまった」では元も子もないでしょう。

≪ステップ2.課題定義≫

業務量調査による現状把握が完了したら、そこにある問題を次々に定義していきます。「作業Aから作業Bにかけて時間がかかり過ぎている」、「ドキュメント共有環境が無いためコミュニケーションに時間がかかっている」などなど、業務量調査によって見つかる問題は多数あります。

あるいは、プロジェクト関係者がテーブルを囲んで話し合うだけでなく、実際に現場に赴いて従業員から業務の問題点をヒアリングするのも有効でしょう。

≪ステップ3.問題分析≫

問題定義が完了したら率先して解決すべき問題を選定して、何が原因かを分析していきます。分析方法としては専門的な分析知識とスキルを必要としない「なぜなぜ分析」がおすすめです。

方法はいたって簡単で、定義した問題に対して数回「なぜ?」と考え、原因を掘り下げていきます。これにより、表面上の原因ではなく根本的な原因を突き止められるため、効率良く業務改善が進みます。

≪ステップ4.対策計画≫

優先的に対策を取るべき問題の原因を突き止めたら「ECRSA」に沿って対策計画を立案します。「ECRSA」とは次の5ワードの頭文字を取ったものです。

  • 「Eliminate」既存業務の何かを取り除く
  • 「Combine」業務を一つにまとめる
  • 「Rearrange」業務の順序・やり方を変更する
  • 「Simplify」業務を単純にする
  • 「Application of IT」ソフトウェアを取り入れる

実は、これは本来「ECRS」と4つのワードを終わっている業務改善概念です。最後の「A」を加えた理由は、「ECRS」をもってしても改善できない業務は、ソフトウェアを導入することで改善できるケースが少なくありません。業務改善に取り組むにあたって、「改善する手段が無い…」と諦めないためにも、最後の「A」まで必ず計画立案しましょう。

≪ステップ5.対策評価≫

対策計画を立案し、それを実施したら最後は対策への評価を行います。対策を講じたことでどれくらいの改善効果があったか、その効果のほどは実施項目に対して妥当か、他に改善の余地はないかを評価します。

評価の改善の余地があれば「PDCAサイクル」を繰り返していき、継続的な業務改善を目指します。

RPAで業務改善を

RPA (Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)は、従来人が行っていた定型業務をロボットソフトウェアで自動化することで、業務改善および生産性向上を実現するツールです。RPAは従来のマクロのような効率化ソフトウェアと違って、複数のアプリケーションをまたいでの自動化を可能としています。

例えば、Excelマクロで集計したデータをWebアプリケーションにログインして入力し、それを関係者全員にメールで送信するといった一連の作業も、RPAなら自動化可能です。アプリケーションレベルではなく、ユーザーの操作の観点で自動化を行うため、普段パソコンで操作している内容は基本的に自動化が可能になるのです。これにより、同じ操作を繰り返すような単純作業を大幅に効率化し、また人為的ミスを防ぐことによって大きな業務改善効果をもたらします。

RPAは現在、業種を問わず多くの企業で新しい業務改善手法として取り入れられています。大手金融機関では、RPAによって年間8,000時間の工数削減に成功したという事例もあります。

現在業務改善に取り組んでいる、あるいは今後取り組む予定という企業は、そのステップの一つとして、まずは単純作業の効率化という観点で、RPAによる自動化と効率化を検討してみてはいかがでしょうか。

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