最近よく聞くデジタルレイバーとは?

 2018.03.02  RPAチャンネル編集部

「デジタルレイバー」という言葉をご存じでしょうか?最近は至るところでこの言葉を耳にします。デジタルレイバーとは「仮想労働者」という意味で、従来は人手によって行ってきた作業をソフトウェアの機能や、場合によってはAI(人工知能)を活用して自動化しようという取り組みの一種です。

2045年にはAIが人類の英知を上回り、世界は後戻りできないほどの変容を遂げる「シンギュラリティ(特異点)」が話題になっています。このシンギュラリティのイメージとデジタルレイバーを重ねて思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかしながら、現在注目されているデジタルレイバーはそこまで進化したロボットではありません。今回はこのデジタルレイバーと、その代名詞ともいえる今注目のRPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)を合わせてご紹介します。

デジタルレイバーはRPA、AI、どっち?

実体が存在しない知的労働者のデジタルレイバー。この言葉を聞いてRPAやAIを思い浮かべる方は多いでしょう。RPAとは人手によって行われてきた単純作業を自動化して生産性を高めるロボットソフトウェアです。一方AIは、基本的には人間が与えたデータから自ら学習し、状況に応じて最適な判断をする人工知能です。

RPAとAIよりも具体的に、観光施設を中心に活躍する「Pepper」をイメージする方が多いかもしれません。「Pepper」はAIを活用したロボットであり、人間が行う操作や言動によってアクションを変え、都度最適な答えを導き出すものです。

たとえば、Pepperは店頭などでよく見かけますし、接客などに利用されることもあるので、「デジタルレイバーとはAIを搭載したロボットのことだ!」という印象を持たれているかもしれませんが、実際はすこし違います。デジタルレイバーと呼ばれているのは、よりシンプルな作業を実行するRPAであり、それは物理的なロボットの筐体を持つわけでもありません。

RPAは会社の単純作業を自動化してくれるロボットソフトウェアです。従って、AIよりもよりシンプルで、日常的な作業を人間に代わって行ってくれる「労働者」的存在なのです。

ではなぜ、RPAは「システム」ではなく「労働者」として捉えられるのでしょうか?

RPAは人の代わりのソフトウェア

これまでの「情報システム」は、業務の仕組みを変えたり、データをつないで意思決定をするなど、全体の業務や組織のあり方にまで影響を与えるような大掛かりなものが多かったのではないでしょうか。システムを導入するためには、現状分析や要件定義を行い、システムや業務の設計をして実装するという、非常に時間とコストがかかるアプローチをとらざるを得ないことが多かったのではないでしょうか。それゆえに、まず優先度は「人ができないこと」をシステムで実行して効果を出すという視点に立つので、あくまで人が利用する対象物として存在しているのです。そのため、システムとそれを使用する人という軸で位置づけられることが多かったでしょう。

システム導入には多くの時間と手間、コストが必要となるため、効果が出やすそうなところを中心として投資されてきたため、人がカバーしている作業は意外と手付かずであるところが多いのも現状です。

RPAが従来のシステムと一線を画しているのは、まさにこの位置づけにおいてです。RPAはシステムとシステムをつなぐような人の作業を自動化するものなので、システムか人かと言えば、その位置は人寄りなのです。実装がソフトウェアであるために、システムとしてとらえられがちですが、その実態は人の作業の自動化であり、既存のシステムに何か手を加える必要もありません。システムの利用者をソフトウェアに置き換えただけなのです。

そのため、RPAは「デジタルレイバー」と呼ばれるようにもなりました。

この位置づけを間違えてしまうと、なかなかうまく活用ができなくなってしまうかもしれません。RPAを採用したり活用するのは、本来はIT部門ではなく、一緒に働く現場部門の上司や同僚であるべきです。そこで仕事を教え、力を発揮してもらうのです。

労働力とはいえ、ソフトウェアとしての特性もあるので、さながらIT部門はデジタルレイバーの人事部といったところでしょうか。

いずれにしても、単純作業を安心して任せられるメンバーがいるため、人のメンバーはより創造的なことや判断が必要なことなどに専念することができ、これまでと同じリソースでより多くの成果を上げられるようになるでしょう。

RPAが人間の仕事を奪うことはあるのか?

とはいえ、このような心配をされるかたもいるのではないでしょうか?

国内最大規模のRPAカンファレンス「RPA Summit 2017」に登壇したRPA研究の第一人者レスリー・ウィルコックス教授は、その公演の中で次のように話しています。

「メディアはRPAによって多くの人が職を失うと煽りがちだが、我々が調査した、失敗事例も含む51の事例の中に、そのような事実は見られなかった。また、多くの企業で従業員満足度も向上している。多くの事例を見てきて断言できるのは、RPAに関する不安は杞憂だったということだ」

IT Leaders「51の事例から見えるRPAの実像とは?」より抜粋

レスリー・ウィルコックス教授が言う通り、RPAが人間の仕事を奪うということはありません。むしろ、RPAが単純作業の大部分を自動化してくれること、人間はより付加価値が高い創造的な仕事に専念でき、ビジネスの価値を高めていけるでしょう。

RPAおよびデジタルレイバーは略奪者ではなく、面倒な単純作業を代行してくれる良き「同僚」です。その力を借りることで、企業は労働生産性を飛躍させ、成長できる企業体質へと組織を改善していけるでしょう。

RPAの効果を実感するには「まず使ってみること」

RPAに関する導入事例をいくらかき集めてみても、自社においてどれくらいの効果を発揮するかは分かりません。同じ業務でも、会社ごとにそのやり方や手順は違うため、RPAに定義するプログラムも違ってきます。

そのため、自社におけるRPAの効果を実感するには「まず使ってみること」をおすすめします。たとえばソフトバンクのRPA「SynchRoid(シンクロイド)」では、お試しプランとしたライトパックを年間90万円で提供しています。利用できるライセンスは1つですが、開発できるプログラムに制限はありません。

このときに重要なのは、いつでももとの業務体制に戻せる作業を選択することです。そして、デジタルレイバーの特性や既存のシステムとの相性を見ながら少しずつ対象業務を広げてゆきましょう。もしもデジタルレイバーが思うような働きをしないときには、それはきっと教え方にも問題があります。教える側が習熟してゆくほどに、デジタルレイバーもよりその能力を発揮してゆくでしょう。

皆さんもデジタルレイバーといえるRPAを同僚として迎え入れ、生産性の飛躍的な向上を実現してみてはいかがでしょうか?

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