いま考え直すコア業務とノンコア業務の取り組み方.

 2018.03.05  RPAチャンネル編集部

1990年代に長期的な不況にあったアメリカにおいて提唱されたのがBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)です。日本でもバブル崩壊後に注目されたのをご記憶の方も多いでしょう。BPRは戦略やそれを支える組織、業務などを根本的に見直すアプローチです。

そして、それを実践するための手法として、多くの場合BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)がセットで語られたのです。業務改善を達成するためには、「コア業務」と「ノンコア業務」という考え方で仕事を分類します。コア業務とは利益に直結する仕事、ノンコア業務とはコア業務を支援したり利益には直接的関係がない仕事のことです。

なぜ、こうした考え方が大切かというと、自社の強みに直結しないノンコア業務(多くの場合は間接業務)の業務効率化を徹底に行い、社外の専門家への委託(アウトソーシング)を行うことで、社内のリソースを本業に集中することができ、業績の改善に寄与すると考えられたからです。

このような経緯で、いまとなっては当たり前になったBPOと、そのベースとなるコア業務、ノンコア業務という考え方ですが、最近再び注目されつつあります。

そこで今回は、ノンコア業務を中心として業務改善手法として、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とRPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)についてご紹介します。

BPOの改善効果は高いが…

BPOとはいわば業務委託のことであり、ノンコア業務をアウトソーシング会社に委託するという手法です。近年では中小企業の中でも「ノンコア業務をアウトソーシング会社に委託しよう」という風潮があります。費用は必要なものの、多くのノンコア業務を委託することにより、付加価値を生まない間接業務の生産性向上につながり、従業員はコア業務に注力できるため結果として投資以上に利益があがる、という考え方に基づいています。

確かに、BPOの業務改善効果は高いでしょう。社内のノンコア業務を丸ごとアウトソーシングするのですから、その分の作業量が削減された生産性が向上します。また、委託先はその業務の専門家ですので、社内で行うよりも質の高い業務が期待できます。最近では、アウトソーシングサービスの価格競争も激しく、安価に委託できる会社も増えているため、中小企業においても現実的な業務改善手法となっています。

本稿を読まれている方の中で、業務改善を達成したいと考えている場合はBPOを検討している方が多いのではないでしょうか?

しかし最近になって、BPOでノンコア業務をアウトソーシングすることのリスクも言われ始めています。

BPOのリスクとは

BPOを利用する最大のリスクは「業務全体が見えなくなる」ことです。利益に直接影響がないと考えられているノンコア業務ですが、もちろんすべての業務を移行することは困難です。たとえば経理部門において入金管理、売掛金管理、決算業務、税務業務など基本業務全般をBPOで業務委託しても、財務諸表等の書類作成までは委託できないため、一部内製化する必要があります。

そうした際に、BPOを利用していることで業務全体が把握できずに、なんらかの変更などを検討する際に社内に知識が蓄積していないため、正しい判断ができないなどの弊害が生まれています。

現在成長段階にある企業でもBPOにはリスクが高いでしょう。成長に合わせてサービスも改良が加えられていき、その度に組織体系や業務ルールが変化していきます。しかしBPOを利用していると簡単には業務内容を変更できないため、ノンコア業務が成長スピードに追い付いて行けず、成長の妨げになってしまいます。

結果として、あらためてノンコア業務を内製化したり、委託の内容を設計しなおすなどが必要となり、それまでに投資が無駄になってしまうでしょう。

もう一つ、BPOとしてオフショア(海外の工場やオフィスへアウトソーシング)を利用した場合のリスクがあります。それは、コスト削減を重視するあまり逆に投資が大きくなってしまうというものです。

会社にとって最もコストがかかる部分が人件費なので、賃金が安い海外(特に発展途上国や新興国)に魅力を感じることはあります。しかし、日本語をビジネスレベルで使用できる人材の調達は難しく、大きなコミュニケーションコストがかかります。その結果、それをカバーするためにかえって投資額が肥大化し、最終的にはコスト増大するケースすら見受けられます。

このように、これまではノンコア業務の常識であったBPOにもリスクが顕在化してきています。上手く利用できれば高い生産性向上効果を得られますが、そのためには正確な現状把握と将来的な経営計画を踏まえて考えなければなりません。

2018年注目の業務改善手法「RPA」とは?

そこで注目されてきているのがRPAです。RPAは業務改善手法というよりは、それを実現するための「ロボットソフトウェア」です。つまりITツールを用いて業務改善に向けた対策を取ります。RPAがどう業務改善に効くかというと、定型業務を中心としたノンコア業務を自動化することで、自動化した分の人の業務量を削減するといったイメージです。

RPAはロボットですが物理的な実体があるわけではなく、ソフトウェアなのでサーバーやパソコンにインストールして利用します。インストールしたRPAで自動化プログラムを開発することで、パソコン上で行われるほとんどの操作を、RPAが自動的に行ってくれます。開発といっても難しいものではありません。GUI(グラフィカル・ユーザー・インター)をベースにした開発画面を提供している製品もあり、いつものパソコン操作を同じ感覚で開発が行えます。

RPAは開発したプログラムに従って業務を代行してくれます。以下に、RPAを活用した事例を一つご紹介します。

≪RPA活用事例≫

A社では業務委託社員受け入れ業務にあたって、入館カード発行や研修のために月1回のペースで基礎情報(名前、所属先企業等)を人事システムに入力しています。もちろん、毎月何人もの業務委託社員の情報を入力するため、その作業量は時間にして40時間です。

そこでA社では、定型作業が多いこの業務にRPAを適用しました。RPAが代行する業務は「業務委託社員の各種情報が記載されたExcelを開く」と「対象者の情報を人事システムに入力(転記)する」の2つです。

この結果、A社では月40時間の作業量を68%削減し、月13時間まで短縮することに成功しています。

このように、RPAで自動化する業務が一部でも、その生産性向上効果は非常に高いものがあります。

RPAを適用できる業務とは?

ノンコア業務の中でも、RPAを適用できる業務は「マニュアル化され作業手順が明確なもの」です。あくまで開発してプログラムに沿ってRPAが業務を代行するため、都度臨機応変な対応が必要な業務には適しません。ただし、ノンコア業務の多くはマニュアル化できる定型作業なので、事前に作業手順を明確にすることでRPAを広範囲に適用できるでしょう。

場合によっては定型作業でなくともRPAを適用できるケースがあります。たとえば備品発注業務がその一つです。

備品発注業務では担当者が各部署から寄せられた発注リストをもとに、発注システムや利用しているサービスにログインし、リストと顔を合わせながら一つ一つ備品を発注していきます。一見マニュアル化が不可能な業務に思えますが、リストに記載されている備品を一旦Excel台帳に記入し、そのデータをもとに備品を発注するようなプログラムを開発すれば、全部とは言わずとも大部分をRPAで自動化できるでしょう。

現在RPAの活用方法は1,200通り以上もあるとも言われており、業種や規模を問わずあらゆる企業でRPAによる生産性向上効果を期待できます。

業務改善のために定着しているノンコア業務のBPOですが、社内のノウハウ不足などの弊害を招いているのも事実です。社内で管理をしつつ、実作業を自動化するというRPAの活用は、現代のBPRの新たな手法として注目されています。BPOによるリスクを低減しつつ、より少ないコストでコア業務への集中を図るためのツールとして新たな期待を受けています。2018年大注目のロボットソフトウェアRPAをぜひご検討ください。

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