ロボットは人手不足対策の救世主になるか

 2018.03.26  RPAチャンネル編集部

日本が今、深刻な人材不足にあることは皆さん周知の事実かと思います。帝国データバンクが2017年11月に発表したデータによれば、「正社員が不足している」と回答した企業は全体の49.1%、前年同期のデータと比較すると7.3ポイントも増加しています。

引用:帝国データバンク「正社員不足、過去最高の 49.1%に上昇 ~「情報サービス」は 7 割超の企業で正社員不足~」

少子高齢化の波を想像以上に多く、労働人口は減少の一途を辿っているのです。

こうした社会問題とも言える人材不足に対し、「ロボットを活用して解決した」というニュースを耳にしたことはないでしょうか?

昨年3月には大手牛丼チェーンの吉野家が食器洗浄工程にロボットを導入したことで話題になりましたし、ソフトバンクが提供する人工知能の「Pepper」は観光施設や大手百貨店など幅広く活用が進んでいて、見かけることも多いのではないでしょうか。

そのため「ロボット」と聞いて、こうした物理的なロボットを想像する方は多いのではないでしょうか?しかし2018年現在、最も話題になっているロボットは、実態のないデジタルレイバー(仮想知的労働者)です。

RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)というツールをご存知でしょうか?これは、従来人の手によって行われてきた一部の業務を、ロボットソフトウェアが代行するというものです。まさに、実体のない労働者。ビジネスに高い労働生産性をもたらす存在です。

今回は、RPAが人手不足にどう有効なのかをご紹介します。

日常の定型業務、物理ロボットでは自動化できない

先述した吉野家の事例では、導入されたロボットは食器洗浄という単純作業工程にて活躍しています。これはいわば製造工場で稼働するロボットと同じです。ロボットはプログラムされた単一作業を繰り返します。所定の位置にある食器を取り、それを洗浄し、置く。所定の位置に食器が無ければ、自ら食器を探したりすることもないでしょう。

ではオフィスでの業務はどうでしょうか。こうした物理ロボットが日常の定型業務を自動化することはできないですよね。たとえば、月末の給与計算業務において、ロボットがデスクに座り、パソコンを起動してシステムを立ち上げ、必要なデータを入力する。まだまだSFの世界でしょう。一般的なロボットはそこがデスクであることも、目の前にあるのがパソコンであることも理解できないので、食器洗浄工程に導入されたロボットのように決められた動きしかできないでしょう。

物理ロボットで電子化されたパソコンで行うような定型業務を自動化しようとしても、所定の位置にパソコンやキーボードが無ければ、操作はおろか起動もできません。

それに対してロボットソフトウェアであるRPAは少し違います。物理ロボットと同じようにプログラムされた動きしかできないものの、RPAはサーバーやパソコン内部にインストールされています。従って、パソコンを使用した操作ならば、基本的にどんな作業でも自動化可能です。もちろん、作業手順が予め定義された業務という条件はありますが、物理ロボットと違って日常の定型業務を自動化できることは極めて大きな利点でしょう。

RPAはシステムではなく「労働者」

近頃「デジタルレイバー(仮想労働者)」という言葉を目にすることが増えてきました。RPAはまさに「システムではなく労働者」と言われます。RPAはソフトウェアなので「システム」ととらえられがちですが、実際は既存のシステムを利用する作業を自動化するものなので、「人」に近い位置づけになるためです。

システムの場合、業務分析を通じて改善ポイントを明確にし、要件定義をしてから設計、構築とかなり大掛かりな導入プロセスがあるのが一般的です。しかしながら、RPAはそのようなプロセスは通らず、いま行っている業務はそのままで、ただそれを自動化するというものです。そのため既存のシステムに対する変更なども必要なく、それをそのまま利用する立場のソフトウェアなのです。

そのため、導入も現在の処理内容が明確であればそのまま処理を実装して利用することが可能です。問題が起きればもとの手作業に戻せばよいので、大きな問題にはなりません。これは、新入社員がミスをしたのでベテラン社員がやり直すのと同じ発想です。

RPA導入の効果とは?

では具体的に、RPAを導入するとどういった効果があるのか?まず目に見て分かる効果は人による「作業量の削減」です。たとえば給与計算業務において、すべての作業を完全自動化できれば100%の作業量削減効果を得られます。毎月の作業量が10時間発生していれば、そのまま10時間の作業量削減です。以下に紹介する事例は、RPAによって月27時間の作業量削減に成功した事例です。

≪RPA活用事例≫

A社では業務委託社員受け入れ業務にあたって、入館カード発行や研修のために月1回のペースで基礎情報(名前、所属先企業等)を人事システムに入力しています。もちろん、毎月何人もの業務委託社員の情報を入力するため、その作業量は時間にして40時間です。

そこでA社では、定型作業が多いこの業務にRPAを適用しました。RPAが代行する業務は「業務委託社員の各種情報が記載されたExcelを開く」と「対象者の情報を人事システムに入力(転記)する」の2つです。

この結果、A社では月40時間の作業量を68%削減し、月13時間まで短縮することに成功しています。

上記はあくまで一例なので、RPAを導入する効果は適用する業務プロセスや導入する企業によって異なります。ただ、RPAを正しく運用すれば多大な作業量削減効果が得られることに違いはないでしょう。

RPAは休まない、ミスしない、辞めない

人手不足が深刻化している現代において、人材を一人雇用するのも大変だという経営者が多いのではないでしょうか?いくら人材不足だからと言って、当然どのような人でもいいわけではなく、なかなかその適性を見抜くのは難しいでしょう。さらに一度人を雇うと、辞めさせることが難しいばかりか、必要な時に自発的に辞めてしまうかもしれません。このように人材雇用には常に大きなリスクが伴います。

また入社してからもその人が休みがちになったり、業務上ミスが多かったり、また退職してしまったりすると人件費は無駄なり、またやり直しになってしまいます。

それに対しRPAは会社にとって忠実な労働者です。ロボットソフトウェアなので欠勤はおろか休憩も要りません。文句も言わず、ミスも無ければ退職もしない。まさに理想のデジタルレイバーです。

RPAは多くの企業にとって、人手不足を解決するための糸口になるでしょう。

まとめ

数十年後には、ロボットが人間の仕事を取ってしまうのではないか、という心配もあります。しかし実際は、人から機械的な作業を取り除くだけであって、人は付加価値の高い業務により注力できる社会が来るでしょう。皆さんの職場環境では、人手不足の対策として、まずは定型的な作業を削減したいというニーズをお持ちではないでしょうか?そういう状況でRPAは大きな価値を発揮します。ソフトウェアでありながらも、システムではなく、労働者として導入することでよき同僚、よき社員にとなってくれるでしょう。

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