RPAの導入事例を紹介

 2018.02.15  RPAチャンネル編集部

パソコンを使用した定型業務をロボットソフトウェアで自動化するツール「RPA (Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)」。慢性的な人材不足への対応や、働き方改革を推進するための役割が注目されています。

RPAのメリットは定型業務の自動化による生産性の飛躍的な向上だけでなく、その結果人材がより付加価値の高い高度な判断や創造性を必要とするような業務に専念できるようになるなど、多数のシナリオとメリットを備えています。

今回は、そんなRPAの導入事例をご紹介します。

【A社事例】業務委託社員の人事情報登録

業務委託社員の受け入れを行うにあたって入館カード発行や研修を実施する必要があります。そのためには、業務委託社員の基礎情報を人事システムに登録しなければなりません。A社ではこの作業が月に1回40時間の業務量が発生していました。

RPAを導入したA社が自動化した作業は「業務委託社員の各種情報が記載されたExcelを開く」「対象者の情報を人事システムに入力(転記)する」です。これまで手作業で行っていた2つの業務をRPAにて自動化したことで、月1回40時間発生していた業務量が13時間まで減少し、68%の工数削減効果を得ました。

≪簡易的な業務だけでも工数削減効果は高い≫

A社の事例は非常にシンプルなもので、自動化を適用した範囲は「Excelを開く」と「人事システムに入力する」のたった2つです。しかし、この2つの作業を実行するためにはいくつかの工数があります。

パソコン起動>業務委託社員情報のExcelダウンロード>ファイルエクスプローラー起動>ダウンロードファイルを開く>対象のExcelを開く>人事システムにログイン>情報入力画面を移動>手作業でデータ入力

このように細かい手順に分けてみると、意外と多くの工数がかかっていることがわかります。たった2つの作業でもこれだけの工数が発生しているので、簡易的な業務の自動化だけでも、RPAによる工数削減効果は高いということになります。

【B社事例】お客様デモ用端末の返却管理

A社事例は月1件発生する業務の自動化事例なので、削減した業務量は27時間と相対的に多くは感じられないかもしれません。次のB社のように、月4,000件発生する管理業務なら工数削減効果はさらに大きくなります。

B社で毎月4,000件発生する業務とは、お客様デモ用携帯電話が営業担当者から返却された際に、貸出記録台帳および端末管理DBのデータを更新する業務です。実際に自動化した業務内容は「貸出記録台帳から貸出IDをコピー」「端末管理DBのステータスを“返却済み”に更新」「貸出記録台帳に返却日を記録」の3つです。

これらの業務をRPAで自動化したことによって、月4,000件、業務量にして100時間も発生していた作業を100%削減し、100時間の工数削減に成功しています。

≪業務量に比例して工数削減効果は高くなる≫

RPAには「業務量が多いほど工数削減効果が高くなる」というメリットがあります。これを理解していれば、適切な業務にRPAを適用して工数削減効果を大幅に高めることができます。

【C社事例】備品発注

A社事例とB社事例に比べると、C社事例はより細かいレベルでの自動化です。しかし、細かい部分での工数削減もその拡張によっては大きな効果をもたらします。

C社がRPAによって自動化したのはほとんどの企業が必ず行っている「備品発注」です。主な業務手順は次のようになります。

備品発注システムにログイン>備品を検索および表示>数量を入力>カートに入れる>購入する

C社では上記手順による備品発注業務は月に10件発生し、業務量にして3.5時間がかかっていました。ここで「発注したい備品の検索や表示をロボットがどう行うの?」とお気づきの方もいるでしょう。確かに、人の頭の中にある「発注リスト」をロボットが理解し、発注業務を行うことは不可能です。そこでExcel管理台帳を使います。

発注したい備品とその数量は予め用意した台帳に記入し、そのデータをもとにRPAを使って備品発注を自動化します。これならば、「台帳に備品と数量を入力する」という部分だけを手作業で行った、残りはRPAでの自動化が可能です。

C社はこのRPA活用によって月3.5時間発生していた業務量を85%削減し、月0.5時間の業務量にまで抑えています。

≪一部手作業で補完するのも活用方法の一つ≫

RPAはあくまで定型業務を自動化するためのロボットソフトウェアです。従って、処理の都度、人の判断などによって入力する値が変わるような非定型作業には向きません。ただし、完全に自動化できないというだけで、活用方法によってはC社事例のように業務の大部分を自動化できるケースもあります。

つまり一部手作業で補完することで、完全自動化に近い工数削減効果を得られるのです。

【D社事例】保険契約書発行

契約書や請求書などの書類は、案件ごとに違います。従って一見非定型業務のように思えるものの、実はRPAによって自動化できる部分が大きい業務です。D社は保険契約書発行におて、案件ごとにテンプレートに沿って項目を入力し、契約書を発行するという業務を自動化しています。

RPA導入以前は月500件の処理に対して48時間の業務量が発生していたのに対し、RPA導入後は30分に短縮されました。

≪入力項目の多い定型業務は工数削減効果が高い≫

案件ごとに内容が違う契約書発行業務の、契約内容を主に営業担当がシステムに入力したり、契約内容が記載されたExcelテンプレートを営業アシスタントに手渡し発行業務を行います。従って、一見して非定型業務に思える契約書発行業務も実は定型業務であり、大部分を自動化可能です。

さらに、契約書や請求書などの発行業務は入力項目が非常に多く、同じデータを何か所にも転記するような処理を行うため、手作業ではかなりの手間がかかります。これをRPAで自動化すれば、D社事例のように数十時間の大幅な工数削減効果が得られるとともに、手作業による転記ミスなどを防ぐことができます。

RPA導入は、活用ポイントと適用範囲の適正判断が大切

本稿で紹介した4社の事例から導き出せることは、RPA導入には「適用業務の見極め」と「ユーザーによる活用」が大切ということでしょう。どの事例でも、まずは処理のパターンが決まっている定型業務からスタートしています。さらにある程度の判断や場合分けが必要な業務に広げて行くというプロセスを表しています。また、適用業務の判断はIT部門によるシステム的な観点ではなく、行の視点が欠かせません。そのため、ユーザー側がより効果があり、IT部門がシステム的な動作確認をサポートしてゆくという体制づくりが成功のポイントになるでしょう。

また、RPA導入では全社的に一気に適用するのではなく、短期間で高い効果を得られそうな領域に限定し、小さく始めてRPA活用のノウハウを蓄積することがまずは大切です。もちろんRPAベンダーによるサポートはあるものの、実際に運用するのは導入企業であるため、社内にノウハウを蓄積することは非常に重要なポイントです。企業や組織ごとのIT環境や文化的なものも含めて、ファンを増やして広げてゆくというアプローチが正攻法といえるでしょう。

皆さんの企業では、RPAによってどういった業務を自動化できそうでしょうか?一度業務の棚卸をし、事例を参考にしながら高い効果が期待できそうな業務があればRPA導入を積極的に検討していきましょう。

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