RPAの金融機関での活用例

 2018.03.08  RPAチャンネル編集部

2017年大きなニュースが駆け巡りました。それはみずほFG、三井住友FG、三菱UFJFGの3大メガバンクがそろって大規模な人員削減を発表し、その規模は合わせて3.2万人もの規模になるということです。この人員削減は数年から10年近くかけて行われるものの、その規模からマスコミでも大きく取り上げられました。

未曽有の低金利時代において収益構造の見直しが迫られている銀行業務だけでなく、そのインパクトは保険や証券などの金融機関にも大きなインパクトを与えるものになりました。それは、各メガバンクに共通の対応策が、RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入による事務作業にかかる人員の削減を柱にしたものだったからです。

金融機関のように正確性が強く要求される現場において、RPAは大いに活躍します。膨大な量の定型業務をロボットで代行すれば、想像以上の生産性効果がもたらされるでしょう。

なので、多数ある業界の中でも金融機関はRPA事例の先駆的存在です。そこで今回は、金融機関でのRPA活用例をもとに、RPAを成功させる秘訣に迫ります。

1件たった数分の削減が、大きな労働生産性の改善を生む

活用例をご紹介する前に、RPA導入の効果についておさらいしたいと思います。

RPAの適用範囲は主に「繰り返し行われる定型業務」です。Excel台帳からシステムへのデータ転記、顧客からの注文メールに応じた請求書作成、複数システムをまたいだ情報紹介など人がパソコン上で行う操作が中心です。

こうした業務はルールや手順を明確に表すことができ、自動化に向いています。金融機関ではこれらの業務が頻繁に発生するため、RPA活用の効果が非常に高く、他業界に先駆けて数々の活用例が誕生しているのです。

では、RPAは具体的にどのような効果があるのか?例えばExcel台帳からデータをコピーして、システムデータベースにそれを記録した上でメタデータ(登録日など)を不要する作業が月に1,000件発生していると仮定します。

Excel台帳からのデータコピー、システムデータベースにおいて所定のページへ移動、データをペースト、メタデータの不要、登録。この一連の流れは3分もあれば十分足りるものでしょう。

この作業をRPAで代行した場合、1件あたりの作業時間は少なくとも30秒には短縮されます。つまり1件あたり2分30秒の削減です。作業単位で見ると非常に少ない削減ですが、これが毎月1,000件も発生しているため話は別です。

2分30秒×1,000件で合計2,500分。時間に換算すると約42時間の作業量です。RPAを適用することで、毎月42時間もの削減ができます。では、削減された時間で何を成すか?

「毎月42時間の削減!つまり人件費削減成功!バンザイ!」と喜ぶのもいいですが、RPAは労働生産性を高めて人がより付加価値が高い仕事に集中できる環境を整えるためのソリューションです。

削減された時間で従業員はコア業務に集中し、より多くの付加価値を生み出し、その結果利益拡大として組織に還元されます。

RPAを活用することで「どう作業時間を削減するか」はもちろんのこと、「削減された時間で何を成すか」も大切なのです。

大手金融機関、年間10,000時間の作業時間削減に成功する

日本国内にも大手金融機関によるRPA活用事例があります。それば、年間10,000時間もの作業時間を短縮したという驚きの事例です。同金融機関では20種類の業務にRPAを適用し、約2年間のパイロット期間を経て本格稼働に入っています。そのパイロット期間中に年間10,000時間の作業時間を削減しているのですから、本格稼働後の削減効果はさらに高いものになっているでしょう。

RPA適用して主な業務はやはり定型的なものです。1時間ごとにシステムにログインしデータを取得。チェックしたデータをExcelに貼り付けるという単純でも負担の大きな業務に着目し、RPAを適用していきました。

これの類似した業務20種類にRPAを適用したことで、同金融機関は年間5人以上の労働力をRPA一つで賄ったことになります。

参考:RPAテクノロジーズ株式会社「RPA(ロボットによる業務自動化)とは」

RPAが適用できる主な金融基幹業務

基本的に業務のルールや手順を明確に定義でき、かつパソコン上で行われる操作であればRPAを適用できます。

≪手続き業務≫

定期預金申し込みや預金口座開設など、お客様に必須情報を入力したもらいその後システムに転記するような作業は、RPAでほぼ自動化できます。申し込み手続きは一般的に紙面に記入してもらいますが、申込書をスキャンして自動的にExcelドキュメントに落とし込むような環境があれば、RPAによる自動化効果は尚更高くなるでしょう。

≪入出金処理≫

金融機関ではキャッシュのやり取りが多いので、入出金処理など正確性が求められる作業が日常的に発生します。システムにログインしてデータを取得し、入出金情報を照合しながらデータ入力を行っていくような作業は想像以上に精神的負担がかかるため、生産性が低下する原因です。RPAを適用すれば、データの正確性が担保される上に大幅な作業時間削減になります

≪セミナー案内≫

一見して定型業務ではない作業に関してもRPAが適用できます。たとえばセミナー案内では、作成した案内メールを対象者全員に送信するため、意外と手間のかかる作業です。RPAなら、作成した案内文をメールに貼り付け、顧客データベースの中から案内対象となる顧客情報を抽出して案内メールを作成および送信します。こうした、売上に直結せず手間のかかる作業を自動化すれば、従業員のフラストレーションも溜まりにくくなるでしょう。

RPA活用を成功させるために

先述したRPA適用業務はほんの一部です。何度も言いますが「業務のルールや手順が明確でありパソコン上で操作するもの」ならばすべて自動化できます。では、そんなRPA活用を成功させる上で大切なポイントとは何でしょうか?

そのポイントを一つに絞るならば「まずは使ってみること」が何よりも大切です。RPA市場が活性化しているといっても、ここ日本でRPAが注目され出したのはごく最近のことなのでイメージばかりが先歩きしている状況でもあります。

そのため皆さんが想像しているRPAと実際に活用するRPAでは少々ギャップが介在するかもしれません。

たとえば、RPAは定型業務をロボットに代行させることで非常に高い労働生産性を生み出すものですが、導入後即座に効果が表れるものではありません。RPAで開発した自動化ロボットは継続的に改良を加えていく必要があるからです。そのためRPAはしばしば「システムではなく人だ」と言われます。この他にもRPAと人工知能(AI)を混同してしまっている方も多いでしょう。

RPA活用を成功させるためには、こうしたイメージと現実とのギャップを極限までゼロにして、本格導入に移行するということが大切です。そのためRPAを「まずは使ってみること」に重点を置いていただきたいと思います。

ソフトバンクが提供するRPA「SynchRoid(シンクロイド)」では、RPAをまずは使ってみたいという方に対して安価な年間プランをご用意しています。導入時トレーニングも実施しているため、迅速にパイロット運用を開始して、その活用効果を実感していただけるでしょう。

RPA活用例は今後も拡大していく

「働き方改革」の推進が多方面で叫ばれている中、RPAはその中心で労働生産性向上という重要な役割を担います。そのため、今後1年間でRPAはその市場を飛躍的に拡大し、多くの活用例を生み出すでしょう。金融機関は代表的な規制産業でもあり、その業務プロセス等は高度に標準化されています。さらに業務量も莫大であるため、RPAは非常に導入しやすく、かつ効果も出やすい業種の一つと言えるでしょう。冒頭で述べたメガバンクでの人員削減も、単なる削減ではなく、より収益性の高い業務への人員のシフトが合わせて予定されています。RPAは単なるコスト削減ではなく、攻めの経営へのインフラとして大いに力を発揮するでしょう。

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