RPAとは -その背景やメリットを基礎から解説

 2018.02.15  RPAチャンネル編集部

RPA (Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)とは「ロボットを活用した業務自動化」への取り組みであり、それを実現するためのロボットソフトウェアを指します。

日本はいま、少子高齢化の進展により労働人口の減少という社会構造の変化に加え、働き方改革の推進に伴う長時間労働の抑制や人材流動化対策など人にかかわる課題があらゆる組織のテーマになりつつあります。もともとは単なる処理の自動化ツールとして登場したRPAも、いまではこのような文脈の中で特に大きな期待と注目を受けています。

今回はそんなRPAの概要や必要になった背景、メリットなどをご紹介します。

RPAとは?

「業務を自動化するロボット」と聞くと、AI(人工知能)やチャットボットを想像する方が多いかもしれません。同時にRPAはあまり聞き慣れないと感じる方も多いでしょう。

RPAはよりシンプルに処理を自動化するロボットソフトウェアです。従来のマクロの概念をより広範囲なシステムに拡張したものと考えるとわかりやすいでしょう。そのため、ソフトウェアでありながらも「人」の代わりに処理をする位置づけであるため「デジタルレイバー(仮想労働者)」と呼ばれることもあります。

基本的にはあらかじめ指定した処理手順を指定したタイミングで実行するソフトウェアです。そのため、手順が明確である単純な定型作業の実行には特に向いています。そのため、おもに事務作業の自動化に使用されています。

自動化できる処理の範囲は特定のアプリケーションに限らず、OfficeアプリケーションとWebアプリケーションをまたがった処理ができるため、システム環境に依存せずに多くの処理を自動化できるのか特徴です。また、今後はAIとの組み合わせで、より高度な判断や分類が必要な作業にも応用されていくことが期待されています。

RPAで自動化できる業務とは

RPAで自動化できる処理は大まかに「入力・登録」「検索・抽出」「集計・加工」「データチェック」「ダウンロード・アップロード」「Webクローリング」の6つに分類されます。これらを組み合わせるような処理が多く含まれている以下のような業務が典型的な適用例です。そのほかにも要件を満たせばあらゆる業務で活用が可能です。

≪経理・財務≫

  • 請求、支払データ入力
  • 固定資産台帳管理
  • 振替伝票処理

≪総務≫

  • セキュリティカード設定
  • 賃料等支払い処理
  • 決裁情報の集計、分析

≪人事≫

  • 残業日報
  • 人事情報修正

≪営業事務≫

  • 申込書入力
  • 経費申請
  • 物販見積もり

これ以外にも、日常的に定型的な作業を行っていることは意外と多いものです。手順が明確であり、頻度が高いものはRPAによる処理の対象になるでしょう。

RPAが注目される背景とは

昨年に総務省が発表した情報によると、日本は現在8年連続で人口が減少しています。2017年1月1日時点の人口数は前年と比較して30万8,084人減少し、減少幅は1968年の調査開始以降最大となっています。

引用:日経電子版「日本の人口、減少幅最大の30万人 東京圏集中も加速 人口動態調査1月1日時点、出生数は100万人割れ」

さらに、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が予測した長期的な日本の人口推移によれば、2053年には人口が1憶人を割り、2065年にはさらに8,808万人まで減少するとされています。

引用:日経電子版「人口、2053年に1億人割れ 厚労省推計、50年後8808万人 働き手は4割減」

政府機関や多くのメディアが警鐘を鳴らすように、日本の人口減少および少子高齢化問題は非常に深刻です。

実際に日本のIT人材は現在21万8,976人不足しており、2030年にはこれが79万に膨れ上がるそうです。

引用:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 ~ 報告書概要版 ~」

こうした中、業務量の増減に応じて人で対応するのには限界が見え始めています。特に中小企業においては人材確保は死活問題になりつつあります。その結果、企業や組織はより少ない人数でより多くの業務量を処理しなければいけない状況が出てきているのです。

そのためには、機械的な作業は徹底的に合理化するということが求められるでしょう。RPAはそのような状況において、常に正確に素早く処理をしてくれる心強い味方です。そして、人はより付加価値の高い高度な判断を必要とする業務や創造的な仕事に専念できるのです。

「働き方改革」が後押し

もう一つの背景は「働き方改革」です。働き方改革には、非正規雇用や同一労働同一賃金、テレワークなど様々な観点があります。このなかでもいま多くの企業や組織が取り組まなければいけないのが長時間労働の抑制でしょう。

そのために、ノー残業デーの設定や一斉消灯などの施策が行われているもの見聞きしたことがあるかもしれません。しかしながら、現在の業務をそのままに単純に時間だけを削減すると何が起こるでしょうか。処理の積み残しが出たり、ビジネスに影響が出る場合もあるでしょう。

だからと言って単純に人を増やすのも、上述のとおり人材不足の状況であったりコストの問題で容易ではないでしょう。結果として、人が行う業務量を劇的に削減する必要が出てきました。定型的な業務を自動化し、圧倒的な効率化を実現するRPAは働き方改革推進のためのインフラとして注目されているのです。

RPA導入のメリット

RPAを導入することのおもなメリットは「処理が正確で速い」「コストが安い」「人的リスクがない」の3点でしょう。

1.処理が正確で速い

まずこれまで人によって行われていた作業をRPAでの実行に変えて得られるメリットは、処理が圧倒的に速くなるということです。決まった手順であっても、たとえば人がファイルが格納されているフォルダを開き、適切なファイルを選択して開き、とやっているとそれなりに時間がかかります。どれが適切なファイル化を選んだりするときに迷うかもしれませんし、間違えてしまうこともあるでしょう。

あるいはドキュメント内のフィールドをWebフォームに転記するといった際にも、貼り付け先のフィールドを間違えてしまったり、コピーする範囲が欠けてしまっているということも経験があるのではないでしょうか。

このように、単純で正確さが求められる処理は、RPAに行ってもらったほうが圧倒的に高速で正確です。また、疲れることもないため、何時間でも正確に稼働してくれます。

2.コストが安い

定型的で単純な処理を人で行う際には、当然のことながら人件費が発生します。通常人件費は時間単価に就業時間をかけて計算しますが、実際にかかっている費用はこれだけではありません。会社側は社会保険料の一部を負担しなければなりませんし、交通費やオフィスのコストも発生します。残業が必要になれば通常の人件費に加えて割増賃金を加算した残業手当が必要ですし、人を採用するのであれば採用にかかる費用も見過ごせません。

このように、単純作業を行うだけに人を採用するというのは、そのアウトプットの付加価値と比べて割に合わなくなってきているというのが実際のところではないでしょうか。それよりも、大切な人材には、より生産的で創造的な仕事に力を発揮してもらい、次のビジネスを作ったり顧客満足度を向上してビジネスの成長を支えるような業務をしてほしいと願うと思います。

単純にコストの比較だけでなく、人とシステムの業務範囲の切り分けを変えてゆくことができるのがRPAの本当の魅力であり、今後ますます求められてくるポイントになるでしょう。

3.人的リスクがない

RPAはこれまでシステムを利用する側の人の作業をソフトウェアで置き換えるため、「デジタルレイバー(仮想労働者)」と呼ばれることがあります。人の作業をソフトウェアの処理に置き換えることで、人ではリスクとなるようなことをなくすことができます。

1つ目は離職しないということです。人が仕事を行う上でのリスクの一つが離職でしょう。せっかく人を採用し、トレーニングをしながら戦力になったところで辞められてしまうと、これまでの投資が無駄になってしまううえに、さらに採用のコストや一時的な生産性の低下が起こます。また、逆に一度採用した人を会社の都合で退職してもらうのも非常にハードルが高いのが現実です。人の雇用にかかわるリスクをなくすことができます。

2つ目は、24時間365日働けるということです。あたりまえですが、デジタルレイバーには労働基準法は適用されません。そのため残業時間の上限や有給休暇も必要ありません。いま注目されているような長時間労働の抑制などを考える必要もないため、必要な時間に必要なだけ処理を進めることが可能です。

以上のように、RPAはその特性や効果から、働き方を変えてゆく原動力として大きな期待をされています。RPAがもつメリットを、それぞれの企業や組織でどのような課題を解決するために利用するのかぜひ検討してみてください。

RPAの注意点

多くのメリットがあるRPAですが、これはあくまでもソフトウェアであり、決して魔法のツールではありません。そのため、使い方を誤ってしまうと当然うまくいかないケースも出てきてしまいます。こうしたことが起きないように、代表的な注意点を述べておきます。

業務の選定と体制づくり

RPAはソフトウェアであり、設定した通りにしか処理を実行できません。そのため属人的な判断が必要な業務や頻繁に変わる業務には向いていない場合があります。また、RPAのロボットは一度作成したら終わりではなく、業務やシステムの変更に合わせてメンテナンスを続けていかなくてはなりません。そのため、保守や運用はユーザー部門を中心に続けていける体制づくりも大きなポイントになります。

製品選定

現在RPAは多種多様な製品が提供されています。基本的なコンセプトは共通していますが、対応するアプリケーションや実装方法、使い勝手などによっていくつか種類があります。

対応するアプリケーションは、Webアプリケーションだけなのか、Windowsアプリケーションも利用可能か、自社開発の業務アプリケーションも利用できるかなどです。これにより、対象業務が大きく変わってきます。

次に実装方法ですが、大きく分けてユーザーが利用するPCで実行するのか、サーバーで実行するのかという違いがあります。PCで実行するものは手軽に始められますが、規模が大きくなるとそれぞれのRPAを保守しないといけないため手間がかかってしまいます。サーバーで実行するものは、まずサーバーを用意しないといけないですが、ユーザーの作業を中断せず保守性も優れているのでより広範囲での利用に向いているでしょう。

最後に使い勝手ですが、一般的にRPAの処理の開発をするのはユーザー部門です。そのため、プログラム開発などのスキルがなくても開発や保守ができるようなツールを選ぶのは大切なポイントです。RPAは設定されたとおりにしか動作しないので、業務の変更などに応じたきめ細かい保守は活用のための必須条件になります。

そのほかにも、提供するベンダーのサポートや価格体系などは当然考慮しなければいけません。自社での利用ノウハウがあり、柔軟な価格体系を持つ製品を選択するとよいでしょう。 

RPAは日本の未来を変えるか

現在、RPAには多くの注目が集まり、業務フローが確立している金融機関などを中心として広がりを見せています。提供されている製品も増えており、ソフトバンクが提供するRPAである「SynchRoid(シンクロイド)」もその一つです。ソフトバンクはすでに自社でもRPAを活用して成果を上げており、そのノウハウとともにソリューションを提供しています。

RPAは働き方改革を実現するための一つの切り口として普及段階に入りつつあります。社会構造が変化してゆく中、単純作業はRPAに任せてしまい、人はよりその能力を発揮するべく付加価値の高い仕事に専念するというのは、形式だけではない働き方改革の一つのあり方かもしれません。ぜひその目的と効果を意識しながらRPAの活用をご検討ください。

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