改めて考える労働時間と生産性の密接な関係

 2018.02.15  RPAチャンネル編集部

皆さんは、日本の労働生産性がどれくらいかをご存知でしょうか?ちなみに労働生産性とは「労働に対して創出される付加価値」であり、労働に対する「アウトプット」とも言われています。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、2016年の日本の「時間当たりの労働生産性」は46ドルでした。これは米国の3分の2程度の水準であり、OECD加盟35ヵ国中では20位に位置します。主要先進7ヵ国で見ると、1970年以降最下位の状態が続いています。

引用:公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2017 年版~日本の時間当たり労働生産性は 46.0 ドル(4,694 円)、OECD 加盟 35 ヵ国中 20 位~」

一方、日本人の平均年間労働時間はというと1,700時間以上もあり、労働時間は世界最高水準です。

日本という国は世界的に見ても「経済大国」であり、それを自負している方も多いかと思います。自動車や電気製品をはじめとして、日本製品の商品力は非常に高く、世界的な企業を多く輩出していることは事実です。

しかし、OECDが発表した労働生産性に関する調査結果を見て、果たして「経済大国」と楽観的でいていいのでしょうか?答えは当然「No」です。日本の労働生産性が低いという現状に危機感を抱くからこそ、内閣官房も日本企業の多くも「働き方改革」に本腰を入れています。

その一環として取り組まれているのが「長時間労働の抑制」です。日本は古くから「長時間働いたものが偉い」という風潮がありました。しかし時代は変わりつつありますし、変えないといけないという機運も高まってきています。

もちろん、長時間労働がもたらした様々な犠牲が顕在化してきたことでより注目されてきた側面はありますが、マクロの観点で見てもそのはるか前から長時間労働は社会的課題だったのです。

前置きが長くなりましたが、今回のテーマは「労働時間と生産性の密接な関係」です。労働時間を短縮することと、生産性が向上することはなぜ関係あるのでしょうか?

「労働時間短縮=生産性向上」ではない

政府が主体となって「長時間労働の抑制」が取り組まれ出してから、「労働時間を短縮することが生産性向上につながる」という考えを持つ企業が増えています。その考えの多くが「無駄な残業が無くなる」といった理由からきているでしょう。

先述の通り日本には古くから「長時間働いたものが評価される」という価値観があるのは事実でしょう。また、残業手当込みで生活設計をせざるを得ない給与体系もあるかもしれません。そのため、定時内に仕事終わらせるインセンティブがなく、時間外労働込みでスケジュールを立てたり、あえて残業する社員がいたり、上司や同僚が残業していると帰りづらかったりと、無駄な残業が増えている状況はないでしょうか。まずはそうした不必要な残業を削減するのは第一歩です。

しかし、実際にはすべてが不必要な残業であるとは言えないのも事実です。日本の労働時間が相対的に長いのは、ITを活用して合理化することに対して積極的に取り組んでこなかった面も作用しているのではないでしょうか。

たとえば、なんらかのツールを導入するにしても、日本企業では100%の結果を求めがちです。1%でもエラーや間違えが起こるので導入しないという姿勢が見られます。これに対して海外では80%の正確性でも楽になるのであればいいし、残りの20%だけやればいいんでしょうというスタンスで取り組みます。このような、完璧を求めるがゆえに結果的に保守的になり、手間をかけているという側面も否めません。結果ビジネスにおいてもスピードの観点で他国の企業の後塵を拝する例が増えているのではないでしょうか。

しかし、いま社会は変わりつつあります。そして価値観も変わりつつあります。

いま働き方改革が強く叫ばれている中、とりわけ長時間労働の抑制に対する要請が強くなってきています。しかし、当然のことながら、これまでのやり方のままで時間だけ短くするというのは単純に業務処理量が減って、業績にも影響が出るのではないかと懸念している経営者は多くいるでしょう。実際その心配は的外れなものではありません。

そこで、労働時間を管理するということは、業務のやり方を見直して時間生産性を高めることとセットでなければ意味をなさないということに気づかれるでしょう。

労働時間と生産量は比例するのか

労働時間と生産量は通常比例関係にあるように思えます。そのため「労働時間を減らすと生産量も下がる」と考えてしまいがちです。しかしそれは時間生産性を同じと仮定した場合であり、また特にいわゆるホワイトカラー業務においては時間と成果が必ずしも比例するわけではありません。

生産性を高めるためには

では生産性を阻害している要素はなんでしょうか。これまで日本の製造業の生産現場においては、「カイゼン」の積み重ねにより徹底的な無駄の排除を行い、生産性を高めてきました。工場のラインのように時間と生産量が必ずしも比例しないとは言うものの、無駄を排除しなくてよいという理由にはなりません。

先に述べたように、労働時間を短くしたいというインセンティブか働かないことや、完璧を求めるがゆえに逆に非効率な業務を残してしまうなどの背景がありましたが、いまこそその価値観を変えるタイミングなのではないでしょうか。

プレミアムフライデーなどの取り組みがうまくいかないのは、業務効率をそのままに時間だけを強制的に短くするというアプローチだからです。

生産性を向上すれば余裕ができ、より多くの成果を上げる可能性が出るうえに、自分の都合に合わせた時間の使い方ができるようになり、強制的に早く帰るような施策は不要になるはずです。

ではなにから手を付けたらいいのでしょうか。たとえば現在注目されているRPA (Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)による業務の自動化です。RPAはパソコン上で行う作業を自動化するためのロボットソフトウェアであり、与えられた指示に従って操作を行います。対象になるのは定型的な作業です。

たとえば、Excelで管理している案件のデータから、案件管理のシステムにデータを転記しなければならないとします。Excelのシート内で完結するのであれば、VBAでマクロを作成するなどの効率化はできると思いますが、転記先がWebアプリケーションであればそうはいきません。結構な手間をかけて書き写したり、それをもとに別のレポートを作ったりということをしているのではないでしょうか。とくに何も生み出していないこのような「作業」に、意外と多くの時間を費やしたりしていないでしょうか。この業務に毎週1時間費やしていたとすれば、1か月で4時間、1年で48時間の工数削減です。

こうした削減された時間の中で、コア業務に注力することができ生産性向上につながります。RPAを導入している企業の多くは、月間でかなりの時間に相当する工数削減効果を生んでいます。大手銀行では年間8,000時間以上の工数削減に成功しており、生産性を大幅に向上しています。

RPAを使って生産性が向上できれば、労働時間を短縮しても生産性を維持したまま、無駄な残業を廃止したり人件費の削減につながるでしょう。

生産性向上を伴った労働時間短縮を

働き方改革の一環として労働時間短縮へ取り組むのであれば、まずは生産性向上から目指しましょう。そこで重要なのは、効率化のために質を落とさないということです。ツールは正確性という観点では人が行うよりも高い品質を保ちます。生産性を向上し、その結果としての労働時間の短縮を実現してこそ、本当の意味での働き方改革を実現できるでしょう。そのための第一歩としてぜひRPAによる業務の自動化をご検討ください。

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