働き方改革の目的を再考してみる

 2018.02.28  RPAチャンネル編集部

皆さんは「働き方改革」と聞いて何をイメージされるでしょうか?時間や場所にとらわれないワークスタイル(テレワーク)、同一労働同一賃金の適用、長時間労働の是正など多岐にわたるでしょう。これは、働き方改革の目的が立場や時期によって異なってしまっていて、結果的にその手段の議論に陥ってしまっていることを意味しているのではないでしょうか。

実際に、働き方改革といってもその取り組み手段の事例ばかりが共有され、本来の目的を自分事としてとらえる機会は意外と少ないと思います。

働き方改革はいまや多くの日本企業にとって欠かせない変革です。それを失敗しないためにも、改めてその目的について再考してみましょう。

働き方改革、本来の目的とは?

リーマンショックから10年。日本の経済状況は確実に立ち直り、アベノミクスなどの政策効果などもあり多方メディアにて「日本経済は好調期に突入した」というニュースを目にします。しかしそうした中でも、深刻な社会問題はあります。それが、少子高齢化による「労働人口の減少」です。

総務省の「労働力調査年報」(2016)によると、2016年の労働人口は6,648万人。人口減少の波がこのままで推移すれば、2065年には労働人口は3,946万人に減少し、2016年と比較すると4割ほど減少するという見通しです。労働力は50%程度低下するとされています。

引用:みずほ総合研究所「少子高齢化で労働力人口は4 割減 労働力率引き上げの鍵を握る働き方改革」

約50年後の日本では、労働力率が現在の50%程度に低下する。これは単純に考えると、日本企業が半分近くは50年後に「消えて無くなる」と捉えることもできます。

働き方改革が持つ本来の目的は、労働人口減少や少子高齢化という深刻な社会問題に立ち向かうべく、「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みを実施することです。すでに多方の自治体ではシルバー人材活用など、老若男女が労働者として活躍できる環境を整えるための取り組みがなされています。

さらに、日本は世界的に見てかなり労働生産性が低い国です。OECD(経済協力開発機構)が2017年に発表したデータによれば、日本の労働生産性は主要先進7ヵ国のうち最下位。OED加盟35ヵ国で見ても20位と低い水準を維持しています。

引用:公益社団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2017 年版~日本の時間当たり労働生産性は 46.0 ドル(4,694 円)、OECD 加盟 35 ヵ国中 20 位~」

こうした労働生産性の低さは、日本で当たり前化してしまった長時間労働がその根底にあるのではないかと考え、長時間労働を是正する取り組みも働き方改革の中心になっています。

会社が働き方改革に取り組む目的は?

内閣官房が推進する働き方改革には、「一億総活躍社会の実現」と「長時間労働の是正」という明確な目的があります。しかしそれはマクロ経済の観点で、社会構造の変化とともに経済成長を両立させるための柱としてとらえられています。

このことは、2017年に召集された首相官邸による「働き方実現会議」がまとめた実行計画にも色濃く表現されています。

※参考資料「働き方改革実行計画(概要)」

では、その実際の担い手である企業や組織は、どのような目的をもって取り組めばよいのでしょうか。

企業の最終的なゴールは収益を増大して継続的に事業を行うことでしょう。それを阻害している課題が何であるかは企業によって異なるはずですし、組織自体の「価値観」のようなものも影響するでしょう。そうした背景を踏まえると、以下のような目的が多いのではないでしょうか。

多様で優秀な人材の確保

労働人口が減少してゆくなかで事業を拡大してゆくという宿命を負っている企業によって、優秀な人材の確保は今後死活問題になります。またそれらの人たちは、個人としてのライフステージ(子育てや介護など)に応じて働き方のニーズは変化してゆきます。これらを許容できる働き方を提供できないと、中長期的な優秀な人材のエンゲージメントを獲得できず、いずれ衰退するでしょう。

企業イメージの向上

2013年の新語・流行語大賞のトップテンに「ブラック企業」という言葉が選出されました。いまや一般の市民レベルでブラック企業は重要な関心事であり、ひとたびそのような印象がつくと、ビジネスに重大なインパクトを与えかねません。そのために、働き方改革を推進しているというイメージを創り出すことは、企業のブランディングに対しても重要なポイントとなってきました。働き方改革への取組み自体が目的化してしまうことには、このような背景もあるでしょう。

業務効率化によるコストの削減

労働基準法では、時間外労働に対して2割5分の割増賃金を規定しています。さらに深夜業にも2割5分、休日労働には3割5分の割増賃金を規定し、たとえば深夜の時間外労働では両方がつくために5割の割増賃金が発生します。

単に給与としての支払いだけでなく、恒常的になれば企業が負担する社会保険料なども増えるため、労働コストの負担はより大きくなります。

このため、労働時間の短縮は企業にとってはプラスの方向性であり、これを機に労働時間を削減しようという機運につながっている場合もあります。

これらはいずれも「会社目線」の目的ですが、中長期的に考えれば働く側にとっても必ずメリットのある方向性であるはずです。

多様な働き方を選択可能で企業イメージも高く、残業代に依存しない安定的な収入を得ることにもつながるからです。

ただ、こうした働き方改革の目的を明確にしたうえで実現手段を検討しないと、結果的に働く側の負担を増やしたり、収入が減少して不満が増え、離職やパフォーマンスの低下に結びついてしまいかねません。

それぞれの企業や組織の状況は個々に異なり、さらにそのなかの価値観や性格も異なるために、何を目的に、どのように進めるかは、成功事例として紹介されている企業を真似してもうまくいくものではありません。真の働き方改革の出発点は、まずは現状の課題の把握と目的を労使ともに合意の上で明確にすることにあるでしょう。

働き方改革で労働生産性を向上するのではなく、労働生産性向上が伴った働き方改革を

働き方改革が始まった当初は、「長時間労働の是正」を中心に取り組んでいた内閣官房も、次第に「労働生産性の向上」へと取り組みをシフトしています。これは、単に長時間労働を廃止しても仕事量は減らないため、どこかで帳尻合わせをしなくてはならず、結果として完璧な是正にはつながらないからです。これに危機感を感じてか、「長時間労働の是正」だけでなく効率化による仕事量低減を目的とした「労働生産性の向上」をテーマとして掲げるようになりました。

しかし、本質的な課題へ踏み込み始めたのはよいものの、依然として現状からの脱却には結びついていないというのが現状です。その原因の多くは「労働生産性を伴わない働き方改革」にあると考えています。

働き方改革はしばしば、労働生産性を向上するための取り組みと捉えられます。しかし実際はこの逆で、労働生産性が向上するからこそ働き方改革が実現するでしょう。

考えてもみれば単純なことです。残業を廃止するだけでは仕事量は減りません。長時間労働を是正しても、結局は多大な負担がかかります。テレワーク制度を設けて場所や時間にとらわれないワークスタイルを提案しても、コミュニケーションコストが増すだけです。結果として労働生産性向上には繋がらず、むしろ低下するでしょう。

従って、働き方改革が先なのではなく、労働生産性向上が先です。これを理解していないと、いつまで経っても働き方改革による効果は表れないでしょう。

労働生産性向上を実現するために

このような背景で注目されているのがRPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)です。働き方改革の目的をどこに置くかにかかわらず、必要な要素をしてあげられるのがITの活用による生産性の向上です。これは、単純作業に費やす時間を劇的に削減するとともに、より人の力が必要な創造や判断、コミュニケーションなどに注力することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めることで、最終的には企業の業績にもプラスの効果をもたらすでしょう。

このようなRPAの中でも、ソフトバンクの「SynchRoid(シンクロイド)」はユーザーが開発したプログラムに従って、パソコン上の業務を代行するロボットソフトウェアです。

開発といってもGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)をベースにしているので、普段のパソコン操作を同じ感覚でプログラムを開発できます。専門的なIT技術は不要です。

会社には必ず定型業務が存在します。しかもその量は膨大です。それらの定型業務をSynchRoidが代行すれば、作業量は大幅に減少し労働生産性は飛躍的に向上するでしょう。SynchRoidは人から機械的な部分を取り除き、付加価値の高い作業に注力できるための環境を整えてくれるITソリューションです。

社会的な働き方改革の目的、そして個々の企業や組織の働き方改革の目的を明確にすることが出発点であり、非常に重要です。そしてその成功に向けて、RPAのようなITツールをうまく活用し、働き方改革のベースとなる取り組みを行っていきましょう。

RECOMMEND関連記事


RECENT POST「市場動向」の最新記事


この記事が気に入ったらいいねしよう!